【それって法律違反?】NFTの著作権はだれにあるの?リアルアートとはどう違う?知っておきたい『NFT法律面』をまとめてみた。【NFT初心者むけ解説】

NFT

NFTを売りたい人
「自分のイラストをNFTにして売ったら著作権はどうなっちゃうんだろう?」

NFTを買いたい人
「最近よく見るNFT。二次創作(ファンアート)描いてる人も多いから自分もやってみたい!」
「NFTアートを買ったら、そのイラストのグッズを販売して儲けてもいいの?」

こんなお悩みにお答えしますね。

この記事でわかること
・NFTの著作権はだれにあるの?
・NFTの法律面で気をつけておくことは?
・NFTとリアルなアートの共通点は?ちがいは何?

この記事の執筆者は…
  • SNS総フォロワー 約10000人(27)
  • 2017年から仮想通貨を運用
  • 仮想通貨7桁運用中
  • NFTコレクション『Crypto Beautiful』コミュニティモデレーター

こちらのページでは今現在NFTを売買している人・またはNFTに興味がある人ならぜったいに知っておいてほしい『NFTの法律面』について解説していきます。

よだんですが、先日NFT初心者の方限定の勉強会を開催しました。

そこでのイベント後アンケートで「(NFTを始めるとしたら)ハードルに感じるのはどの点ですか?」の項目で2番目に多かった答えが『法律や税金関係』でした。

▽NFTイベントレポはこちら▽

「法律や権利関係がよくわからないからNFTって怖い。」って思ってる人にも参考になるように、難しい法律の話もなるべくわかりやすくまとめていきたいと思います!

NFTは『無法地帯』なの?

NFTはまだまだ技術的にも業界的にも立ち上がったばかりの分野です。

そのため、既存の法律が追いついていない・法律の枠組みにおさまらない問題がNFTには数多くあることをなんとなく知っている人も多いと思います。

でもだからと言って「NFTの売買は無法地帯なのか?」というとそうではありません。

歴史あるリアルなアート(絵画や彫刻など)で決められている法律と照らし合わせることで

・NFT(特にイラスト)とリアルアートで法律的に共通する部分
・NFTとリアルアートで法律的に共通しない部分
・NFTのみがもつ特徴のため、今ある法律で決められていない部分

とちゃんと分けることができます。

ここではアートやデザインに興味がある人ならだれもが知っている美術雑誌『美術手帖』の2021年12月号 “「NFTアート」ってなんなんだ?! ” から、NFTアートと法律について触れている部分を参照しつつ、ぜったいに知っておくべき『NFTの法律面』について解説していきます!

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NFTアートで知っておきたい法律・権利

まずさいしょにNFT関係の法律・権利について図にまとめてみました。

2021年12月号『美術手帖』p86〜91参照

こうしてみるとリアルアートとNFTアートで共通する部分もあれば、そうでない部分、またNFTアート個別の事例で例外が多くあることもわかります。

【NFTとリアルアートで共通する部分】
・著作権
・グッズ販売や二次創作の商用利用
・転売(二次流通)

【NFTとリアルアートで共通しない部分】
・所有権

【NFTのみがもつ特徴のため、今ある法律で決められていない部分】
・作品の展示について

結論は以上のとおりなのですが、

「なんでそうなるの?」
「これってどういうこと?」

ってなる人も多いと思います。

なのでここからはもう少しくわしい解説をいれていきます。しっかり理解しておきたいという方はつづけてどうぞ!

NFTアートの著作権→アーティストにある

リアルアート・NFTアートどちらも『著作権』をもっているのはアーティストです。

有体物を伴わないデジタルデータにも著作権は発生するので、契約で定めないかぎり、作品を創作したアーティストが著作権を持つ。

2021年12月号『美術手帖』p87参照

そもそも『著作権』とは作品を創作した人がもっている権利のこと。

著作権をもつ人は作品がどう使われるか決めることができたり、作品が第三者に使われた時にはそれに合う正当な報酬を受け取ることができます。

絵画や彫刻などのリアルアートの場合、たとえアーティストが作品をだれか他の人に売ったりあげたりしても、著作権自体はアーティスト本人が持ち続けることになります。

そしてこの著作権はNFTアートなどのデジタルアートでもおなじように考えます。

デジタルなもの(物体がないもの)であっても著作権は作品を創作した人がもっていることになります。

なので、『NFTを購入すること』はあくまで『イラストのデータを購入すること』であって『著作権までもらうことではないこと』を覚えておきましょう!

NFTアートの二次創作・商用利用→基本NG【例外あり】

リアルアート・NFTアートどちらも二次創作・商用利用は『基本NG』。

著作権者であるアーティストに複製権があり、例えば、作品の購入者でも買った作品のイメージをマグカップなどのグッズに使用して販売することはできない。

2021年12月号『美術手帖』p87参照

つまりどういうことかというと、

  • ①二次創作やイラストを使ったグッズは『複製権』にあたる
  • ②複製権は『著作権』にくっついた(付随した)権利
  • ③だから著作権を持っている人(基本アーティスト)の許可なしに販売はできない

っていう3段構造になっています。

これはリアルアートでもNFTアートでもおなじです。

つまり、リアルな絵を買った人がそれをNFTにして販売する(リアルアート→NFT化)ことも、
NFTアートを買った人がそれをリアルな紙やマグカップに印刷して販売する(NFTアート→リアル化)ことも
どちらも勝手にすることは『基本的には』できません。

NFTでの例外:CC0とは?

ただしNFTアートではこの著作権や複製権などの権利をすべて『放棄』することを宣言している作品があります。

これは『CC0:クリエイティブ・コモンズ・ゼロ』と言われ、

「許可を取らなくてもグッズ化したり二次創作した作品を販売してもうけてもぜんぜん良いよ!むしろやって!」ということです。

NFTアートの場合は『CC0』をつけることによって

・大元のNFTコレクションの認知が上がりやすい
・ファンの人が二次創作をすることでコレクションが盛り上がりやすい

など著作権以上のメリットが得られやすい。これがCC0をつけているNFTアートが多い理由だと思います。

しかしこれはあくまで『例外』で、すべてのNFTアートが著作権を放棄しているわけではありません。

二次創作や商用利用についてはそれぞれのコレクションの運営にしっかり確認をとり、ルールを守っておこないましょう。

逆に言うと、NFTアーティスト・運営者は著作権などについて事前に明記しておくとよいかもしれません。

NFTアートの転売(二次流通)→いつでも可能

リアルアート・NFTアートどちらも、1度購入した作品をさらに他の人へ売る(転売する)ことが可能です。

何も契約がなければ作品の売却に制限はない。そのため、購入者はいつでも作品を売却することができる。

2021年12月号『美術手帖』p87参照

これはNFTアートでは『二次流通』と言われることが多いですね。

たとえばゴッホの絵を10年前に買った人がその作品をオークションにかけて別の人へ売ってもいいように、NFTアートも購入した作品を別の人に売ることができます。

さらにいうとNFTアートの場合、アーティストは最初に売った時のお金だけでなく、二次流通・三次流通などの自分が直接関わっていない取引からもロイヤリティ(手数料)をもらうことができます。

そのため、NFTアートでは作品を販売した当時は無名の作家があとから有名になって高値の取引がされたとしても、作品の価値がしっかりとアーティスト本人に返ってきやすいのです。

これはNFTの取引がブロックチェーンによって過去から現在まですべてさかのぼれるからこそといえますね!

NFTアートの購入は『所有』ではない

リアルアートの場合、『購入する=所有する』になる。
しかしNFTアートは物体がないため『購入する=所有する』にはならない。

フィジカルアート(リアルアート)に関して購入者が取得するのは有体物の所有権である。

いっぽう、NFTアートの場合、ブロックチェーン上でオーナーとして登録されることで直ちになんらかの権利が導かれるわけではない。
所有権は有体物に対する権利のため、有体物を伴わないNFTアートには所有権は発生しない。

2021年12月号『美術手帖』p87参照

つまり、NFTアートを『購入』しても、NFTアートを『所有』していることにはならないということ。

これちょっと感覚的には「???」って感じですよね(笑)
『買ってはいるけど所有はしてない』ってうーんどゆこと?っていう。

これはちょっと『法律的な考え方』と『私たちのふだんの感覚』に差がある部分なのかなと思います。

法律的考え方ではあくまで『所有』とはリアルな物体があるものに使う言葉なので、デジタルアートやNFTアートのような物体がないものは、たとえお金を払っていても『所有』してることにはならないってことなんですね。

NFTアートに支払ったお金はあくまで『オーナー登録』の権利を購入したということになります。

ここはもしかしたら今後、法律的にもデジタルデータの所有権についての内容が規定される可能性はありそうだな〜と思います!

私たち自身NFTができて初めて『デジタルなものを所有する』という感覚を体験した人も多いと思うので。

NFTアートの展示→法律的には『NG』でも実際は『OK』?

NFTアートの場合、法律的には許可なく展示すること・展示して収益を上げることはNG。
しかし、実際にはアーティストとしても展示を許可していることも多く、リアルアートと同じようにコレクションを展示しても問題ない場合が多い。

絵画や彫刻(リアルアート)の原作品の所有者は、アーティストの許諾がなくても、購入した作品を公に展示することができる。美術館での展示により入場料を徴収して収益を上げることも可能だ。

有体物を伴わないNFTアートは著作権法上の「原作品」にあたらないことから、この規定の適用はないと言わざるをえないだろう。
そうすると、何も契約がないときには、例えばNFTアートをディスプレイに映して公に展示するためには、原則としてアーティストの許諾が必要になる。
もっとも、アーティストとしても作品の展示は許容していることが多いだろうから、展示の条件について事前に明確にしておくことが望ましい。

2021年12月号『美術手帖』p88参照

ちょっと長いので要点だけまとめると、

  • 【リアルアート】
    ①作品を購入した所有者はアーティストの許可なく作品を展示可能(例:美術館・博物館)
    入場料をとって利益を得るのもOK
  • 【NFTアート】
    ①NFTアートは有体物ではないため、リアルアートとは扱いが異なる
    展示の際には原則アーティストの許可が必要
    アーティスト側は『展示OK』の場合は事前に明記しておくといいかも

とこんな感じです。やっぱりNFTに物体がないことがリアルアートとの違いになっているようですね。

しかし、NFTアートにちょっと詳しい人なら『OnCyber』などの仮想空間上にNFTが展示されているのを見たことがある人も多いはず。

「ああいうのはすべて許可とってるの?」と言われると99.9%のものは許可取ってないと思います。

なのでこのあたりもデジタルデータや仮想空間(メタバース)が新しすぎて今ある法律が追いついてない部分と言えそうです。

今から法律が変わっていく可能性も高そうですが、今のところ『法律的には』許可が必要と覚えておいた方がトラブルに巻き込まれることはなさそう!

NFTアートで知っておきたい法律・権利まとめ

ということでここまでNFTアートで知っておきたい法律・権利について解説してきました。

2021年12月号『美術手帖』p86〜91参照

・【著作権】 → アーティストにある
・【二次創作・商用利用】 → 基本NG(ただしCC0など例外あり)
・【転売(二次流通)】→ いつでも可能
・【購入】 →『所有』ではない
・【展示】→ 法律的には『NG』でも実際は『OK』?

正直法律ひとつひとつをすべてしっかり理解するのは難しいし時間もかかります。

ですが、今日解説してきたことはNFTアートを売る人も買う人もわりと始めてすぐにぶちあたる疑問だと思うのでなんとなくでもいいので理解しておくことをオススメします。

「知らなかった。」ではすまないのが法律です。

知らないうちに他の人の権利を侵害しないためにも、アーティストとして自身の権利を守るためにも、最低限の知識をもちつつNFTを楽しみましょう!

今回引用した美術手帖の2021年12月号。
個人的にはじめて買ったNFTの本だったのですが、初心者が知りたい内容がちょうどよくまとまっててめちゃくちゃオススメです…!

今日解説した内容をもっとちゃんと知っておきたいって人もぜひ。

(本記事の内容は美術手帖2021年12月号を参考にしています。NFTは流れの速い業界なので、最新の情報も合わせて参考していただくようお願いいたします。)

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